天文ネクタイ

内山茂男

天文が好きになっていろいろ見始めた頃、土星はふたご座の足元にいました。 早いもので、あれから土星が太陽の周りを1周してしまったのです。 これだけ長いこと天文を趣味にしていると、"星"という文字や"☆（星印）"などがチラッと目に入るっただけで、 不思議に気がついてしまいます。不必要なものは買わない私でも、 それがあっても困らないものだとつい買ってしまうこともあります。 また、星仲間も多いので景品等で星グッズをもらうこともあります。それらは捨てることができません。 めったに買わないようにしているはずなのに、いつのまにか星グッズが多くなって来てしまうのです。

だんだんたまってきた星グッズの中でも、今回はネクタイを紹介しましょう。 私の職場はネクタイをしなくてもおかしくないのですが、私は結構ネクタイが好きで毎日しています。 収納スペースもそれほどとりません。まさに、"あっても困らないもの"なのです。 そこでネクタイを売っていると、つい天文ネタのものを探してしまうのです。ところが以外に天文柄のネクタイは少ないものです。 何年もかけて少しずつ増えた結果がこれから紹介するものです。

これらは、就職しネクタイを少しずつ買い始めた頃のもの。ところが、天文ネタだということは気がついていませんでした。 この写真をみてもわからないでしょ？　なんとなく見た目が落ち着いていて購入したのでしょう。 でも、あるとき、書いてある文字をよく見たらよく見たら、"Saturn"と"Venus"と書いてあるではないですか！ （Satanではありません。 念のため。）
下に文字の部分を拡大した写真を載せておきましたが、読めるでしょうか？

これは、妻が見つけてプレゼントしてくれたもの。私にはちょっと可愛すぎるので、なかなかできません。 でも1度だけしました。それは当会の忘年会。はじめからしていくのは恥ずかしくて、 ある程度お酒を飲んでからトイレで結びなおしました。でも予想よりも早く、すぐに気がつかれました。

何気なく星がちりばめられていて、流れ星（ほうき星？）がとんでいるのですから、 なかなかよい雰囲気だと思います。 ミッフィーちゃんが目立たなければ、普段からしてもいいのですが・・・。

これは、一番のお気に入り。水玉模様のように、太陽・月・地球・火星・木星・土星が並んでいます。 この"月"は、個人的には"金星"ではかもしれないと思っているのですが・・・。

これを見つけたのは、妻と買い物をしているときです。「オオッ！」と目が釘付けになりました。 これはバックが濃い青ですが、バックが黄色のものも並んでいます。やはり、買うのでしたらバックが濃い青の方でしょう。 しかしそのあとに目に飛び込んできたのは、その価格 7,000円！ それまで購入するネクタイといえば 1,000円のものばかり。 高いものでも 3,000円まででしたから、悩みました。このとき、妻が「買ってあげる」と一言。今でも感謝しています。

これは、おうし座の描かれたネクタイ。駅で 1,000円のネクタイを売っていることがありますが、そこで見つけたものです。 実は、12星座シリーズの中の1つのようですが、これを見つけた時は、この「おうし座」だけしかありませんでした。 もし、12星座全部が並んでいたら・・・。さすがに、全部を購入する気にはならないでしょう。 その場合、どれにしましょうか？ 流星が好きな立場としては、まず「しし座」ですね。 でも、おうし座 も「おうし群」がありますし、星座の形もいいですから、最初に見つけた時にこれがあってよかったです。
自分の星座をするのは、ちょっと気恥ずかしい気がします。でも 「みずがめ群」もありますから、悪くはないですね。

ちなみに、このネクタイは「光るネクタイ」です。刺繍の糸に蓄光繊維が使われているようで、 光をたくさん当ててから暗いところに持って行くと、おうしの絵と星が緑色に光ります。

その次は、見ての通り「星座絵ネクタイ」です。描かれているのは、しし座、おおぐま座、はくちょう座とわし座。 よく見ると、おおぐまのしっぽが見えなかったり（おおぐまのしっぽは長いはず）、 しし座が裏像だったり（おおぐまは裏像ではありません）しますが、 その程度のことなら問題ありません。

水玉模様のネクタイは、たくさん売っています。それなら水玉のかわりに星を並べた星玉模様のネクタイもあっていいのに、 と思って探していました。でも、なかなか見つかりません。 そして、当会の例会に行く途中でふと立ち寄った紳士服専門店で見つけたのがこのネクタイです。 5000円とちょっと高かったので迷ったのですが、購入してしまいました。

その後も、下のような星や月の模様のネクタイを手に入れました （家族からのプレゼントが多いです）。
簡単に見つかるものではありませんが、よく探せばあるようです。

また、下のように、動物などと一緒に星や月が描かれているものも手に入れました。 このように何気なく星があるものもいいものです。

まだあります。下に示したネクタイのうち、左のものは「七夕」です。星の間にあるものは、彗星にも似ていますが、 七夕飾りです。さらに星の並びが天の川をイメージさせ、お気に入りの1本です。
中央のものも、星が描かれていますが、その近くに描かれているのは太鼓です。ですから、たたいて飛び出した星で、 空の星ではないようです。
右のネクタイにも小さな星が描かれています。 でも、その周りのものをよく見ると「貝」や「クジラ」「セイウチ」のように見えます。 ということは、この星型のものは「ヒトデ」なのでしょう。でも、ヒトデを漢字で書くと「海星」ですし、 英語では“Asteroid”です（小惑星も Asteroid なのです）。

ネクタイをもう一つ紹介しておきます。

ここに書かれている語句をいくつか読むと、
Atomic Energy （原子エネルギー）
Radioactivity （放射能）
X-Ray （X線）
Nuclear PHYSICS （原子核物理学）
Cosmic Rays （宇宙線）
Ultraviolet （紫外線）
Center of gravity （重力の中心）　などなど。
描かれているものはネオンの電子配置だったり、結晶構造だったり、 X線発生装置だったり、・・・。

というわけで、これは天文ネクタイではなく、物理ネクタイです。
でも、これはイギリスに旅行した方からいただいた「グリニッジ天文台」のお土産なのです。 とてもお気に入りの1本です。

最後に、ネクタイピンを紹介します。
最近はネクタイピンをしない人が多いのですが、私はする方が好きなのでいつもしています。

1つ目は、宇宙研（略称ISAS ）<当時>の開発したロケット “Ｍ−Ｖ（ミュー5）”のネクタイピン。 以前、月刊天文（現在 休刊中）の「宇宙研グッズプレゼント」というのがあり、 その中にこのネクタイピンもありました。試しに余っていたハガキ(失礼!)を出したところ、 見事当選して送られてきたものです。このネクタイピンは「1名に」というものだったのですが、大変ラッキーでした。

2つ目は、ご覧の通り“いて座”です。半人半馬のケイローンの星座には「いて座」と「ケンタウルス座」がありますが、 ケンタウルスは槍を持っていますから、これはいて座です。この程度だと一般の方には「星ネタ」だとはわかりにくいでしょう。 これも、駅で 1,000円ネクタイと一緒に売られていたもので、このネクタイピンも 1,000円だったと思います。

最後は星ネタではないのですが、アンモナイトの化石（本物）のネクタイピンです。 東京国際ミネラルフェア（鉱物や化石・隕石などの販売業者が集まって展示即売会） で購入したものです。 ネクタイピンは 1,000円程度、小さいアンモナイトの化石も 1,000円程度で手に入りますから、 加工賃を含めて 3,000円程度で売っているのでは？と予想して行きました。そして会場を見て回っているとありました。 予想通り 3000円のアンモナイトネクタイピンが。ところが、 3,000円のものはちょっとチャチイのです。 そして、その隣にまともな 5,000円のアンモナイトネクタイピンが置いてあります。 5,000円は高いよな、 としばらく会場をウロウロしながら迷った末に購入したものです。
でも、その後一番愛用しているのがこのアンモナイトのネクタイピンです。

この文章は、私の所属する“さいたま☆天文同好会”の会報「まがたま」56号（2003年1月発行） に掲載したものをベースに、その後手に入れたネクタイやタイピンを加えて書き直したものです。（2010年12月掲載）